テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成17年 午後1 問4

最終更新日 2005/10/24
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成17年 午後1 問4

問4

ネットワーク間の接続に関する次の記述を読んで,設問1〜 4に答えよ。

 A社とB社は,C県内で通信サービスを提供する通信事業者であり,A社はインタ
ーネット接続サービス用ネットワークISP‐Aを,B社はISP‐Bを運用している。ISP-1
〜ISP-3は全国規模のインターネット接続サービス用ネットワークであり,ISP-Aは
ISP-1と接続し,ISP-BはISP-2と接続している。また,ISP-1とISP‐2は,ともに
ISP-3と接続している。

 このたび,A社とB社のISP事業の統合が決まり,ISP-AとISP-Bを接続して運用
することになった。ISP-AとISP-Bを接続した後は,経費削減のために,ISP-BとISP
-2間の接続を廃止する。ただし,接続作業のための移行期間を設け,移行期間中は,
ISP-BとISP-2を今までどおり接続しておく予定である。図に,移行期間中のネット
ワークの構成を示す。


図 移行期間中のネットワークの構成

〔ISP間の接続〕

ISP-AとISP-Bの接続のために,通信事業者から光ファイバを8本借用し,A社ビ
ルとB社ビル間に光伝送路を開通させる。借用する光ファイバは,高速かつ長距離の
伝送に適した【 ア 】モードファイバである。この光ファイバは,【 イ 】
呼ばれる中心部の直径が10μ m以下と細く,光が伝わる経路(モード)が一つなので,
高速かつ長距離の伝送が可能である。この光ファイバに適応するギガビットイーサネ
ットポート(以下,GEポートといぅ)には,光レベル仕様の異なる幾つかの種類が
あるので,L2-SWのGEポートが光伝送路で使用できるかどうかを確認しておく。表
に,L2-SWのGEポートの光レベル仕様を示す。

表 L2-SWのGEポートの光レベル仕様
                 単位dBm

項目 最大値 最小値
送信レベル 5 1
受信レベル -3 -23

 L2-SWのGEポートで通信が保証されるために, 光伝送路の減衰量( 単位dB)は,
送信レベルの最小値と受信レベルの最小値の差以下である必要があり, 表から
【 a 】dBと求めることができる。通信事業者からは,光伝送路の減表量は17dB
であるという連絡があり,L2-SWのメーカからは,3dBの余裕を見込む必要があると
助言されている。したがって,減表量と余裕の合計は20dBなので,L2-SWのGEポ
ートを光伝送路で使用しても,問題ないことが分かる。

 L2-SW間は,四つのGEポートで接続し,合計4Gビット/秒の通信容量を確保し
たい。そのため,当該GEポートをグループ化して,負荷分散の機能を有効にする設
定を行う。負荷分散は,送信フレーム内の二つのフィールドをキーにして,キーの異
なるフレームを異なるGEポートから送信させる機能である。L2-SW間の通信容量を,
できるだけ4Gビット/秒に近付けるためには,グループ化された各GEポートから
均等にフレームが送信されるように,キーにするフィールドを選択する必要がある。
L2-SWのデフォルトのキー設定では,@送信元MACアドレスとあて先MACアドレ
スのフィールドがキーに選択
されるが, ここでは,送信元IPアドレスとあて先IPアド
レスがキーに選択されるように設定して,負荷分散がより適切に行われるようにする。

 L2-SW間は,四つのGEポートで接続されるので,通信が切断される危険性は低い
と考えられるが,L2‐SWのリンク障害通知機能を使用して信頼性をより高めることに
する。Aリンク障害通知機能は, L2-SWのGEポートの受信側で故障を検知すると,
同一GEポートの送信側から対向のL2-SWへ故障を通知し,対向のGEポートの送信
側を停止状態にするように実装
されている。

〔ISP間の経路制御〕

 ISP-AとISP-Bの割当てを受けているアドレス空間は,プレフィックス長で表すと,
それぞれ17ビットと18ビットである。これらのアドレス空間には,アドレスクラス
がクラス【 ウ 】で,連続する複数個のネットワークアドレスが使用されている。

 ISP-AとISP-Bは,経路制御プロトコルにRIPv2を使用しており,ISP-AとISP-B
の接続においてもRIPv2を使用することにした。RIPv2はRIPv1の拡張版で,経路選
択のメトリックに,あて先ネットワークに到達するまでに通過するルータの数である
【 エ 】を使用することや,ルータ間で,各ルータの保持する経路情報を,デフォ
ルトで【 b 】秒ごとに送信することは共通である。

 RIPv2には経路集約の機能があり,経路集約するプレフィックス長はルータで設定
できる。仮に,ルータAとルータBの経路制御において,24ビットのプレフィックス
長で経路集約を行うように設定すると,ルータAとルータBから対向のルータに送信
される経路情報のエントリ数の合計は【 c 】になる。また,経路集約するプレ
フィックス長を,ルータAでは17ビットに,ルータBでは18ビットに設定すると,
それぞれのルータから対向のルータに送信される経路情報のエントリ数は1になる。

〔ISP-B 〜 ISP-3間の通信経路の調整〕

 A社ビルとB社ビルにおける,ISP-AとISP-Bの接続作業が終了して,図のネット
ワーク構成で運用が開始された。接続作業の前後に,ISP-Bの運用管理者が,ISP-3内
の公開サーバからISP-B内のパソコンにファイル転送を行い,通信の確認をしたとこ
ろ,接続作業前より転送速度が遅くなっていることに気付いた。ISP-3の加入者であ
る社員の協力を得て,【 オ 】コマンドを使って通信経路を調査したところ,接続
作業前のISP-BからISP-3への通信経路は,往路がISP-B→ ISP-2→ISP-3であり,
復路はその逆順であった。接続作業後は,往路は同一であるが,復路がISP-3→ISP‐
1→ ISP-A→ ISP-Bに変わったので,ISP-3とISP-1間の回線の混雑が影響したと考
えられる。復路が変わったのは,ISP-1がISP-Bのネットワークの経路情報を,ISP-3
に送信し始めたことが関係する。ISP-Bの制御では,復路を接続作業前の状態に戻す
ことはできないので,B社はISP-1の通信事業者に対応を申し入れた。

 ISP-1〜 ISP-3のISP間の経路制御プロトコルには,BGPが使用されている。運用
上,最も優先される経路選択のメトリックは,あて先ネットワークに到達するまでに
通過したAS (Autonomous System)の1回数である。ASの個数が最も少ない通信経路
が,最適な通信経路として選択される。ISP_1〜 ISP‐3は,各ISPがそれぞれ一つの
ASである。ISP-1は,ISP-AとISP-Bの経路情報をルータ1で静的に設定し,ISP-1
のASに属する経路情報としてISP-3へ送信している。ISP-2は,ISP-Bの経路情報を
ルータ2で静的に設定し,同様にISP-3へ送信している。

 ISP-1の通信事業者は,B ISP-3へ送信する経路情報のメトリック値の変更を行い,
B社の希望する通信経路になった。また,ISP-1とISP-3間の通信回線はISP-1が保有
するが,ISP-1はこの通信回線を高速化する計画になっていたので,前倒しで実施し
た。

 その後,ISP-1が変更した経路情報のメトリック値を元に戻し,通信に問題がない
ことを確認した後,ISP‐BとISP-2間の接続を廃止した。


設問1 

本文中の【 ア 】〜【 オ 】に入れる適切な宇句を答えよ。

設問2 

〔ISP間の接続〕について,(1)〜(3)に答えよ。

(1)本文中の【 a 】に入れる適切な数値を答えよ。

(2)本文中の下線@でのデフォルトのキー設定では,負荷分散が適切に行われな
  い理由を,30字以内で述べよ。

(3)本文中の下線Aのリンク障害通知機能によって検出できる障害の内容を二つ
  挙げ,それぞれ15字以内で述べよ。

設問3 

〔ISP間の経路制御〕について,(1),(2)に答えよ。

(1)本文中の【 b 】,【 c 】に入れる適切な数値を答えよ。

(2)通信経路数が増加したときに,経路集約を行わないことによる問題点を二つ
  挙げ,それぞれ20字以内で述べよ。

設問4

〔ISP-B 〜 ISP-3間の通信経路の調整〕の本文中の下線Bについて,経路情報
の変更対象となるあて先ネットワークを答えよ。また,メトリック値の変更の内
容について,ASという字句を用いて25字以内で述べよ。

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