テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題平成15年 午後1 問3最終更新日 2004/11/23
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テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成15年 午後1 問3 |
問3
小規模ネットワークの構築に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
K社は、不動産仲介業を営む、社員が数名の会社である。パソコンの知識をある程
度もっている社員のR君が、ネットワークの構築と運用を担当している。K社では、
昨年から、電話回線にパソコンを接続し、ISPへのダイヤルアップ接続でインターネ
ットを利用してきた。当初は、Webの閲覧と電子メール(以下、メールという)の利
用から始めた。その半年後に、営業内容の広報のためにWebでの情報発信も始めた。
これらは、ISPのドメイン名を使用したサービスによって実現されていた。1年が過ぎ
て、インターネットの有効性も実証されたので、ADSLの導入、外出先からの利用及
びK社専用のドメイン名(以下、独自ドメインという)の利用を計画している。
〔ADSLの導入〕
導入に当たって、ADSLの利用申請を行った。開通日になって、マニュアルに従っ
て機器の接続を完了させた。しかし、電話機は今までどおり使用できたが、ADSLモ
デムは電源をオンにしても通信可能な状態にはならなかった。何度も試してみたが、
うまくいかないので、社長の友人でパソコンショップを営むW氏に支援を頼むことに
した。
次は、R君とW氏の会話である。
W氏:ADSLモデムの表示ランプの状態を説明書で確認すると、相手側の信号は検出
できているが、ネゴシエーションに失敗しているようです。この現象は、受信
した信号が異常だった場合に起こります。先程、外から電話の配線を見たとこ
ろ、図1に示す接続構成で遠隔監視装置が接続されていましたが、遠隔監視の
会社には連絡しましたか。
図1 K社の接続構成
R君:いいえ。連結していません。ところで、これが何か問題なのでしょうか。
W氏:この遠隔監視装置は、電話回線に接続され 電話と同じ周波数帯域を使用して
送受信を行います。図2に、ADSLの方式の一つであるDMT
(Discrete Multi-
Tone)のスペクトラム図を示します。多数の搬送波を用いたADSL信号は、周
波数26kHzと1,104kHzの間に分布しています。一部の遠隔監視装置が、この
ADSL信号に対して、ノイズを発生させることがあるようです。遠隔監視の会
社に連絡して、調査と対策を要請してみましょう。
図2 DMTのスペクトラム図
遠隔監視装置の接続箇所を【 c 】の位置に変更した結果、ADSLモデムのネ
ゴシエーションが成功し、ADSLでの通信が可能な状態になった。
〔外出先からの利用〕
K社の社長は、会社に設置したパソコンからだけでなく、携帯電話でISPにダイヤ
ルアップ接続できるノートパソコンを使って、外出先においてもWebの閲覧とメール
の利用を始めた。期待どおりの効果はあったが、メールの受信量が多くなるにつれて
通信時間が長くなり、通信料も増大した。その改善の指示を受けたR君は W氏に改
善策を相談した。
次は、W氏の改善策の要旨である。
インターネットでメールを転送する標準的なプロトコルは【 d 】である。メ
ールは、このプロトコルで転送され、あて先のメールサーバのメールボックスに格納
される。メールボックスからパソコンにメールを取り出すプロトコルには
【 e 】やIMAP4などがある。
外出先からの利用において時間がかかるのは、【 e 】を使っているからである。
社長の受信メールは1日当たり60通あり、その20%に添付ファイルがある。添付フ
ァイルは1通当たり平均300kバイトであり、添付ファイルを除く受信メールのデー
タ(以下、メール本体という)は1通当たり平均5kバイトである。したがって、添
付ファイルの1日分の合計は、【 ア 】kバイトであり、メール本体の1日分の合
計は、【 イ 】kバイトである。これらの全データを取り出すための所要時間は、
実効転送速度が毎秒1kバイトなので【 ウ 】分である。
IMAP4では、受信メールの添付ファイルを取り出さないこともできる。添付ファイ
ルのうち、外出先で取り出す必要がないものが75%なので、その添付ファイルの合
計は、【 エ 】kバイトになる。したがって、IMAP4を利用すると、取り出すため
の所要時間が【 オ 】分短縮できる。
R君は、ISPのメールサービスの仕様を調査し、IMAP4を利用できるように設定の
変更を行い、外出先からの利用における問題点を解決した。
〔独自ドメインの利用〕
R君は、W氏に独自ドメインの導入方法を相談した。
次は、R君とW氏の会話である。
R君:独自ドメインを利用したメールや情報発信を行います。そのためには、独自ド
メインを取得し、自社にサーバを設置するだけでよいのでしょうか。
W氏:K社にサーバを設置し、ADSLと【 f 】IPアドレスサービスを利用すれ
ば、独自ドメインを利用することができます。しかし、データのバックアップ
や障害対応などの運用が大変です。
R君:サーバを自社に設置しなくても独自ドメインは使えますか。
W氏:ISPの顧客ドメインサービスを利用する方法があります。このサービスを使う
と、ISPに設置されたサーバを使う場合でも、独自ドメインが利用できるよう
になります。
R君:その場合には、昨年から使っているISPのドメイン名を使用したメールや情報
発信を、顧客ドメインサービスを利用したものに切り替えるだけで済むのですね。
W氏:いいえ。@当分の間は、現在利用しているサービスも引き続き利用する必要が
あります。
R君:それでは運用が大変そうですね。ほかの方法はありませんか。
W氏:ISPの転送サービスを利用する方法もあります。このサービスでは、独自ドメ
インあてのメールが現在のメールアドレスに転送されます。また、ブラウザで
独自ドメインを指定した場合には、現在のWebサーバを示すURLが返されま
す。運用上の利点としては、顧客ドメインサービスを利用する場合とは異なり、
AWebサーバのデータの移動又は複写が不要であることが挙げられます。
検討の結果、K社では、転送サービスを利用して、独自ドメインを導入することに
した。
設問1
次の問いに答えよ。
(1)図2中の【 a 】、【 b 】に入れる適切な字句を解答群の中から選
び、記号で答えよ。
解答群
ア 音声信号 イ 拡張信号 ウ 基本信号 エ 下り信号
オ 制御信号 カ データ信号 キ 上り信号
(2)本文中の【 c 】に入れる適切な記号を、図1中から選び答えよ。
(3)本文中の【 d 】〜【 f 】に入れる適切な字句を答えよ。
設問2
外出先からの利用に関する次の問いに答えよ。
(1)本文中の【 ア 】〜【 オ 】に入れる適切な数値を答えよ。
(2)R君は、IMAP4を利用して、必要な添付ファイルだけを取り出すことにした
が、どのような使い方を想定したと考えられるか。IMAP4の特徴に着目して、
30字以内で述べよ。
設問3
独自ドメインの利用に関する次の問いに答えよ。
(1)本文中の下線@の理由を、35字以内で述べよ。
(2)本文中の下線Aについて、データの移動又は複写が不要である理由を、35字
以内で述べよ。
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