テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成12年 午後1 問1

最終更新日 2006/02/26
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成12年 午後1 問1

1

分散ネットワークシステムの運用の改善に関する次の記述を読んで、設問1〜3に
答えよ。
G社は、電機設備の保守を行うサービス会社である。東京に本社があり、全国に
10か所の支社と90か所の営業所(以下、支社と営業所を合わせて拠点という)があ
る。拠点に配置された総勢300人のサービス員は、顧客の施設で保守作業を行う。
作業場所や作業内容の指示と作業結果の報告は、ノートパソコンを使用して行う。
G社では、このシステムをサービス員システムと呼んでいる。
ノートパソコンは、サービス員全員に1台ずつ支給されている。本社と各拠点は、
図に示すとおりの専用線ネットワークで結ばれており、プロトコルにはTCP/IPを使
用している。図に示した機器はリースで導入したものであり、リース期間を後1年
残している。


図 サービス員システムのネットワーク構成

全社で共通に管理するデータは、本社の統括サーバのファイル内にある。拠点ごと
に設置されている分散サーバは、サービス員ごとに必要なデータの受渡し処理を担当
する。サービス員は1日の作業が終了すると自分の所属する拠点に戻り、作業の結
果報告を分散サーバにアップロードし、その後、分散サーバから翌日のデータをダウ
ンロードする。このダウンロードには分散サーバの処理時間が長くかかり、30分を
要する。

最近、このサービス員システムでは、ノートパソコンやネットワーク機器の障害対
応において、運用管理を担当している本社システム部門の技術スタッフの作業工数が
多くなることが問題になってきた。その中でも、サービス員の利用しているノートパ
ソコンにおけるアプリケーションプログラム(以下、APという)のバージョンなど
の差異に起因する作業工数が無視できない状況になってきた。そこで、このサービス
員システムの構築を担当したSI業者に改善案の提案を求めた。

[SI業者の提案の一部]

APのバージョンアップを【 a 】に任せると、ご指摘のような問題が出ます。
また、運用管理者が300台のノートパソコンを1台1台手作業で行うのは負担が大
きいといえます。そこで、本社からリモートで行う【 b 】機能が有効になり、
ます。
システム運用管理を総合的に行えるソフトウェアを導入すれば、一気に解決できま
すが、導入に時間がかかり費用もかさみます。そこで、当面の問題解決を短期間で行
うため、次の機能に限定したソフトウェアの導入を提案します。

(1)現在、フロッピーディスクに納めて郵送している、最新バージョンのAPを
    【 c 】で配布する機能
(2)APがバージョンアップされていないことを技術スタッフが検出できる機能
(3)APのバージョンアップ時に、実行にかかわるパラメタ値を指定値に統一する機能

また、システムの総合的な見直しも行うことにした。関係者が集まり、問題点の摘
出を行ったところ、ほかにも次の問題点があることが分かった。

(1)拠点には、サーバ管理ができる技術者がいないので、本社にいる技術スタッフが
  出張することが多く、移動時間を含めたサーバ管理の工数が大きい。
(2)ソフトウェアライセンスの使用状況が管理されていない。また、AP以外のソフ
  トウェア、例えば古いメールプログラムなど、最近使っていないソフトウェアがノ
  ートパソコンに残っている。

これらの問題点に対する改善案を次のように整理した。

[問題点の改善案]

(1)サーバ管理の工数を低減するため、営業所の分散サーバを廃止し、この処理を支
  社の分散サーバに統合する。
(2)管理対象をすべてのソフトウェアに広げてライセンスの使用状況管理を行う。ま
  た、同時使用ライセンス契約に切り替える。同時使用ライセンス契約とは、ネット
  ワーク上でライセンスの使用状況管理を行い、ソフトウェアを同時に利用できるユ
  ーザ数を決めて契約する形態をいう。

さらに、分散サーバの統合案については、従来の実績から次のように条件を推定し
て試算し、現状との比較表を作成した。

[分散サーバの管理費用]

現状と分散サーバ統合案ともに、次の条件とする。
(1)資産管理の調査と台帳作成の作業は、サーバ当たり3時間かかり、年2回行う。
(2)ソフトウエアのバージョンアップ作業は、サーバ当たり4時間かかり、年1回行う。
(3)サーバの障害対応作業は、サーバ当たり8時間かかり、2年に1回発生する。
(4)上記(1)〜(3)の作業は、1名の技術スタッフが本社から拠点にその都度出向いて行
  うものとし、移動時間は1回当たり往復6時間とする。
(5)本社からリモートで行うユーザ登録の変更作業は、変更のあるユーザ当たり10
  分かかり、年間で150ユーザを行う。
(6)作業及び移動に要する人件費は、1時間当たりいずれも4,000円とする。

[営業所でのダウンロード時間]

(1)分散サーパとノートパソコン間で毎日行うダウンロードのデータ量は、ノートパ
  ソコン1台当たり24×10^6バイトである。
(2)サービス員システムの専用線の通信速度は、すべて128kビット/秒であり、伝
  送効率は0.4である。
(3)ダウンロード時間の計算には、分散サーバの処理時間を含めない。
(4)ダウンロード時間は、営業所のネットワークに1台のノートパソコンが接続さ
  れており、かつ、ほかのデータが回線に流れていない場合の値とする。

表 現状と分散サーバ統合案の比較

項目 現状(図の構成) 分散サーバ統合案
サーバ台数 統括サーバ 1台 1台
分散サーバ 【ア】台 10台
分散サーバ管理費用(平均年間費用) 【イ】円 【ウ】円
営業所でのダウンロード時間 30分 【エ】分

管理費用は分散サーバ統合案の方が有利なことが分かった。SI業者の提案と、指
摘された問題点に対する改善案はともに採用され、本システムの運用はかなり改善さ
れた。


設問1 

ソフトウエアのバージョンアップに関する本文中の【a】〜【c】
に入れる適切字句を、それぞれ10字以内で答えよ。

設問2

ライセンス管理に関する次の問いに答えよ。

(1)ソフトウェアのライセンス管理を十分に行うことによって、G社はどのよう
な問題を防ごうとしているか。20字以内で述べよ。

(2) サービス員システムの同時使用ライセンス契約は、ソフトウェアのライセン
スキーを用いて管理する。この管理の具体的な仕組みを30字以内で述べよ。

設問3

現状と分散サーバ統合案の比較に関する次の問いに答えよ。

(1)表中の【ア】〜【エ】に入れる適切な数値を答えよ。

(2)分散サーバ統合案において、表に示されていない項目で検討すべきものを一
つ挙げ、15字以内で答えよ。次に、その理由を20字以内で述べよ。また、ど
のような対策をとるべきか、20字以内で述べよ。

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