テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成10年 午後1 問3

最終更新日 2004/01/24
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成10年 午後1 問3

問3

オンライン受発注システムの設計に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。

ファッション関連の卸売業者組合が運営するGセンタでは、小売業者に対して商品のカタ
ログをオンラインで提供し、注文を受け付けている。
卸売業者はスキャナからカタログの画像を登録する。小売業者はパソコンを用いて、カタ
ログの検索を行い、欲しい商品があれば、発注操作を行う。検索・発注のサービス時間帯は
9時〜19時である。卸売業者と小売業者は、ほとんどが東京、大阪近郊に分布している。G
センタは東京都内にある。
オンライン受発注システム(以下、受発注システムという)の構成を図に示す。卸売業者
のパソコンと小売業者のパソコンは、ISDNで集合端末アダプタ(以下、集合TAという)
に接続され.アクセスサーバ及びLANを経由して検索・受発注処理サーバに接続される。


図 オンライン受発注システムの構成

通信ネットワークには、経済性からISDNを採用した。ISDN上の通信プロトコルにはPPP
(Point to Point Protocol)を用い、【 a 】でGセンタ内のLAN側のプロトコルに変換され
る。検索・受発注処理サーバ内には商品データベースと利用者データベースがある。商品デ
ータベースには商品のデータが蓄えられていて、検索に利用される。また、受発注データも
ここに蓄えられる。利用者データベースには、卸売業者、小売業者のユーザID、パスワー
ドなどの属性データがあり、利用者の認証に使用される。
受発注システムの構想時に検討した内容を次に示す。
注文は従来、注文伝票を送付する方法で行われてきた。今後、小売業者が受発注システム
を利用して発注すれば卸売業者による注文伝票の入力作業が軽減され、注文から納品までの
期間短縮も実現できる。
しかし、小売業者にとっては、直接の合理化効果がないので、このシステムを利用せず、
従来同様、注文伝票を送付する方法で発注する可能性も大きい。利用が少なければ受発注シ
ステムは経済的に成立せず、その成否は小売業者によるオンライン発注をいかに多くするか
にかかっている。 .
費用負担について考えると、Gセンタ自体の構築費用は卸売業者組合が負担するが、ほか
に小売業者と卸売業者に設置するパソコンなどの機器及び通信回線の費用負担がある。小売
業者による受発注システムの利用を促進するためには、小売栗者がパソコンを導入しやすく、
またオンライン発注をしやすくするように、システムの費用をなるべく小売業者に負担させ
ない方がよい。しかし、パソコンについては、他業務に利用できるので小売業者の負担とし、
また月々発生するISDNの費用は、【 b 】が考えられるので、利用者である小売業者の負
担とした。以上から、小売業者の設置機器などの費用負担は表1のとおりになった。

表1 小売業者の設定機器などの費用負担

費用項目 費用負担者
パソコン 小売業者
パソコン上の受発注システムソフト 卸売業者組合
通信機器 卸売業者組合
月々発生するISDNの費用 小売業者

一方、卸売業者は、注文伝票の入力作業軽減という直接の合理化効果があり、受発注シス
テム利用の増加を望んでいるので、卸売業者の設置機器などの費用負担への配慮は不要であ
ると考えた。また、使い勝手に関しても同様で、例えばセンタ側回線が話中で接続できない
場合、再接続する手間を掛けてでも利用するだろうと見込まれた。
受発注システムの構築時に、H君はネットワーク設計を行った。また、パソコン上の受発
注システムソフトの設計とサーバのデータベース設計は、同僚のJ君が行った。
各商品データは商品の画像と属性データから構成される。商品の画像は極力鮮明にしたい
が、小売業者にとってシステムの使い勝手が良いように、検索や発注の応答時間は短くした
い。そこで商品の画像は、JPEG方式で符号化することによって圧縮して転送し、格納する。
また、属性データの中に検索用縮小画像と検索キーワードを付与して、検索や発注の操作性
向上に役立てる。
H君はGセンタの企画担当者から、小売業者及び卸売業者のシステム利用見込みを入手し
た。また、J君と話し合い、平均的利用者の通信時間を想定した。その内容を表2に示す。

表2 利用見込み及び通信時間

項 目 小売業者 卸売業者
パソコン数 1,000 50
パソコン当たりアクセス回数 2アクセス/日  6アクセス/日
最繁時集中率 0.2 0.2
最繁時間帯 午前10時〜11時 午後3時〜4時
通信時間 360秒/アクセス 600秒/アクセス

表2から、小売業者用及び卸売業者用のセンタ側回線の呼量と必要なBチヤネル数を、ア
ーランB式に基づいて計算した。小売業者用は呼損率0.03で計算すると【 c 】アーランで
48本、卸売業者用は呼揖率0.1で計算すると、10アーランで【 d 】本であった。
受発注システムの稼働開始後、小売業者による利用が思ったほど伸びず、これまでの構想
の前提を見直すことも含め、利用促進策を再検討することになった。


設問1

本文中の【 a 】〜 【 d 】に入れる適切な字句又は数値を答えよ。

設問2 

本文では小売業者用センタ側回線と、卸売業者用センタ側回線を別々なものとして、
Bチヤネル数を計算している。しかし、両回線を共用し、小売業者も卸売業者も一つの
代表番号にダイヤルして、先着順にBチヤネルを利用する仕組みにすることができる。
このようなセンタ側回線の共用に関する次の問いに答えよ。

(1)回線の共用によって話中となる確率が低くなるか、回線数の削減によって月額使用
料を低くできるかのいずれかの効果が見込まれ、検討する価値が十分にある。このよ
うな効果が見込まれる理由を、本文に即して、30字以内で述べよ。

(2)(1)の検討のために、何を調査する必要があるか。30字以内で述べよ。

設問3 

受発注システムの費用に関する次の問いに答えよ。

(1)小売業者が受発注システムを利用する場合の月額費用を、次の@〜Bを前提にして
求めよ。

@ この小売業者とGセンタは別市内にあり、その間の距離は25kmとする。
A1か月に20日、土日を除く平日に、Bチヤネルを一つ利用する。
B 回線接続装置は買取りでないものとする。

(2)本文では受発注システムの構築、運用に関する費用について述べているが、すべて
の費用項目を挙げているわけではない。本文で記述していないが、発生すると見込ま
れる通信関係の費用は何か。二つ挙げ、それぞれ20字以内で述べよ。

設問4 

小売業者の利用促進策についてH君は、月々発生するISDNの費用を安くして、小売
業者の費用負担を軽減する案を検討した。その具体策を20字以内で述べよ。ただし、
ISDNサービスの利用は変更しないものとする。

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