テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成8年 午後1 問1

最終更新日 2004/01/24
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成8年 午後1 問1

問1

LANシステムの性能改善に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。

P社はコンピュータ周辺機器メーカで、OA化にカを入れており、約300台のパソコンを導
入している。ほとんどのパソコンはCSMA/CD方式のLANに接続されている。P社のLANの
構成を図に示す。LANは、マルチポートリピータ(ハブ)を階層的に接続した構成となっ
ている。
P社のLANは、最初はOAシステムのためのファイル共有を目的としたものであったが、
最近ではワークステーションをサーバにした、TCP/IPによるクライアントサーバ形態(以
下、CS形態という)の業務処理が中心となっている。S1〜S3は業務処理用サーバ、S4〜S7
はファイル共有用サーバである。
LANシステム全体を、システム部が一括管理している。そのため、ルータと全部署から
利用されるサーバは、管理上の都合からシステム部に設置している。現在の稼動システムの
種類と利用部署を表1に示す。P社では、今回、新たにCS形態の顧客情報管理システム(以
下、新システムという)を稼働させることを計画した。新システムのために、システム部に
新規サーバ(S8)を導入する。また、システム部と業務部にそれぞれ10台のパソコンを新
規導入し、LANの拡張も併せて行う。これらの導入作業は、システム部が実施する。
システム部は、20台のパソコンの増設に伴い、最初に図に示すようにLANを拡張した。
システム部では、HUB21に空きポートがあったので、このポートに増設ハブを接続して
LANの拡張を行った。業務部では、ケーブル敷設作業が容易になるHUB24に空きポートは
あったが、HUB11の空きポートに増設ハブを接続してLANの拡張を行った。LANの拡張作
業後に接続テストを実施したところ、システム部で増設したすべてのパソコンで、どのサー
バにも接続できないという問題が発生した。直ちに、増設したハブの電源が正常に投入され
ていることを確認した。また10BASE-Tのケーブル長をチェックし、CSMA/CD方式の規
格内で問題ないことも確認した。幾つかの箇所をチェックした結果、原因が究明でき、問題
は解決できた。
次に、システム部に新規サーバを導入し、新システムを稼動させた。しかし、新システム
の本格稼働によって各システムで応答時間の劣化が起こり、多くの利用者から改善要求が寄
せられた。システム部は状況を調査し、その調査結果を表2にまとめた。システム部は、今
後のLANのトラフィックの増大に耐えられるようにLANの構成を見直すために、データ収
集分析横能をもつLANモニタを複数箇所に設置し、LANの利用状況の把握を行った。収集
データをもとに、ある部署での送受信パケット数のサーバ別比率を表3に、また各サーバご
との通信相手部署別比率を表4にまとめた。
応答時間の問題は早急な改善が必要であったので、暫定的な改善処置を実施した。その処
置内容は新規サーバを他部署に移動させるものであり、サーバの管理上の問題は残ったが、
各システムの応答時間の問題は改善できた。
システム部は、現状の運用管理方式のもとで、今後のLANのトラフィックの増大に耐え
られるLAN構成の改善方法として、ベンダからスイッチングハブの導入提案を受けた。ス
イッチングハブは、ポートごとに10Mビット/秒の帯域を占有できる機能をもつハブで、シ
ステム部はベンダの提案する方法でLANの性能改善が期待できると判断した。


図 LAN構成図

表1 稼動システムの種類と利用部署

システム名 サーバ名 サーバ設置場所 利用部署
電子メールシステム S1 システム部 全部
出張申請システム S2 システム部 全部
旅費精算システム S2 システム部 全部
人事情報システム S3 総務部 全部
OAシステム S4 営業部 総務部、システム部
S5 総務部 営業部
S6 業務部 業務部
S7 システム部 システム部

表2 利用部署別のOA及び業務処理の応答時間の変化状況

  電子メール
システム
出張申請
システム
旅費精算
システム
人事情報
システム
OAシステム
システム部 劣化 劣化 劣化 劣化 劣化
業務部 劣化 劣化 劣化 - 劣化
総務部 劣化 劣化 劣化 変化なし 変化なし
営業部 劣化 劣化 劣化 - 変化なし

表3 送受信パケット数のサーバ別比率

単位:%

  S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S8
比率 15 20 3 0 0 16 21 25

注:表はある部署で測定した結果を示す。

表4 各サーバごとの通信相手部署別比率

単位:%

  S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S8
システム部・業務部 40 10 10 0 0 100 100 15
総務部 25 10 90 0 100 0 0 10
営業部 35 80 0 100 0 0 0 75

設問1

LANの拡張方法と、拡張作業で発生した問題に関する次の小問に答えよ。

(1)業務部の増設ハブは、CSMA/CD方式の規格上の制限からHUB11に接続した。こ
の制限とは何か。10字以内で述べよ。

(2)システム部に増設したすべてのパソコンから、どのサーバとも通信できないという
問題が発生した。状況から考えて可能性の高い原因を三つ挙げ、それぞれ20字以内で
述べよ。

設問2

システム部に設置されているパソコンを総務部に移動させた場合、CS形態の業務処
理を動作させるためにパソコン上で変更すべき設定項目を二つ挙げ、それぞれ20字以内
で述べよ。

設問3

LANの利用状況の測定と、測定結果をもとにした判断に関する次の文章中の【 a 】
〜【 d 】それぞれ適切な字句で埋めよ。ただし、【 c 】に関しては、四捨五入し
て小数第1位まで求めよ。

(1)表3では.サーバS4、S5への通信パケット比率の測定結果は0になっている。
これは、通信パケットが【 a 】によってフィルタリングされているためである。
これから、測定個所は【 b 】、業務部のどちらかであることが分かる。

(2)総務部と営業部(以下、他2部という)からの利用によって、システム部のトラ
フィック増加に最も影響を与えているサーバを表3と表4から求めたい。表4からシス
テム部設置のサーバS1、S2、S7、S8の他2部からの利用率が分かる。また、表
3から【 b 】全体のトラフィックに占める各サーバ別トラフィックの割合が分か
る。この二つの表から、【 b 】全体のトラフィックのうち、他2部がサーバS1に
アクセスするためのトラフィックが占める割合は【 c 】%と計算できる。他のサー
バについても同様の計算をすれば、他2部からめ利用によってシステム部のトラフイ
ック増加に最も影響を与えているサーバは、【 d 】であることが分かる。

設問4

LANの改善に関する次の小問に答えよ。

(1)新システムの導入によって発生した応答時間の劣化に対し、サーバS8を移動する
暫定処置を実施した。移動先の部署名を挙げよ。また、その理由を25字以内で述べよ。

(2)サーバS8を他部署に移動しないためのLANの改善策として、ベンダからスイッチ
ングハブヘの変更提案があった。現在のハブの中でスイッチングハブヘの置換によっ
て、最も性能改善が期待できるものと、そのスイッチングハブに直接接続すると改善
効果が大きい機器を三つ挙げ、記号で答えよ。

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