テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成7年 午後1 問5

最終更新日 2004/01/24
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成7年 午後1 問5

問5

ATM(Asynchronous Transfer Mode)を用いたLANの構成に関する次の記述を読んで、
設問1〜4に答えよ。


図1、2は、ATM交換機を用いてLANを構成したものである。図1は、IPoverATM方
式、図2はLANエミュレーション方式である。いずれの場合も、ATM交換機は、端末相互
間にATMコネクションを提供する。


図1 IPoverATM方式によるLANの構成


図2 LANエミュレーション方式によるLAN間接続

端末が他の端末と通信する場合、まず最初にアドレス解決を行う必要がある。ATM交換
機を用いる場合、ATMコネクションのアドレス(以下、ATMアドレスという)を
CSMA/CD方式のMACアドレスやIPアドレスと対応づけなければならない。このために、
二つの方式には独特のアドレス解決法がある。これを次に示す。

[IPoverATM方式でのアドレス解決方法]

IP over ATM方式では、図1に示すように、ATM交換機に接続された端末間にATM
コネクションを設定してIPパケットを伝送する。ATMコネクションを設定するために、
相手端末のIPアドレスをATMアドレスに変換するATMSを設ける。通信手順は次のよ
うになる。

(1)端末アは、相手端末(例えば、端末イ)のIPアドレスしか分からない場合、
【 a 】との間に【 b 】を設定する。

(2)端末アは、【 a 】にアクセスして【 c 】を入手し、【 a 】との【 b 】を切断
する。

(3)端末アは【 c 】を用いて、端末イとの間に【 b 】を設定する。

(4)設定された【 b 】上でIPパケットを送受する。
(5)端末アは端末イヘの【 b 】上で一定時間、IPパケットが転送されなくなると
【 b 】を切断する。

なお、TCP/IPと同様に、ATMSは、アドレス変換テーブルを常に正しく維持するた
めの機能をもつ必要がある。

[LANエミュレーション方式でのアドレス解決方法]

LANエミュレーション方式は、図2に示すように、二つの異なるLAN間をATMイン
タフェースをもったブリッジを用いて接続し、CSMA/CD方式のフレーム(以下、フレ
ームという)をATMコネクション上で伝送する。ATMコネクションを設定するために、
LESを設け、MACアドレスからATMアドレスに変換する。TCP/IPでの通信手順は次
のようになる。

(1)端末アが、相手端末(例えば、端末イ)のIPアドレスしか分からない場合は、
TCP/IPのARPを用いる。その後、端末アは、フレーム上に端末イのMACアドレス
を設定したIPパケットを送出する。

(2)ブリッジAは、端末イあてのフレームを転送する先のブリッジのATMアドレスが
分からないとき、LESにATMコネクションを設定する。

(3)ブリッジAは、LESから端末イのATMアドレス(実際には、【 d 】)を得る。

(4)ブリッジAは、ブリッジBに対して、ATMコネクションを設定する。

(5)ブリッジAは、このATMコネクションで端末イあてのフレームをブリッジBに転
送する。ブリッジBは、このフレームを端末イに転送する。

(6)ブリッジAとブリッジB間のATMコネクションは、端末アと端末イ間のフレーム
転送が終了しても一定時間は切断されない。

[ATM交換機を用いた二つのシステムの統合]

現在、図3に示すように、CAD(Computer Aided Design)システムとOAシステム
が稼働している。CADシステムは、ホストと端末A、Bで構成されている。OAシステム
は、CSMA/CD方式のLANに接続された端末20台(図3には、代表として端末C、Dを
示す)とサーバEで構成されている。二つのシステムは、別々に運用されてきたが、
CAD用の端末A、BからもOAシステムの提供している電子メールを利用したい。また、
ホストで行っているCAD端末のスケジュール管理をOAシステムのサーバEに移行した
い。そこで、この二つのシステムを相互に接続することにした。なお、CADシステムは
ホストの固有プロトコルを用いており、CAD図面のデータ転送には約8Mビット/秒が
必要である。一方、OAシステムは、TCP/IPを用いている。CAD端末のスケジュール
データは、サーバEから定期的にホストに送出される。2年後には、ビデオサーバを導
入しマルチメディア化する計画もある。そこで、将来の拡張を考慮に入れて、ATM交
換機などの装置を導入し、端末A、Bとホスト間の配線を廃止し、図3に示す配線を追
加・変更する。なお、ホストのプロトコルは、CSMA/CD方式のLAN上を転送できる
ので変更を行わない。

図3 ATM交換機を利用したネットワーク構成


設問1

本文中の空欄a〜dに、適切な言葉をそれぞれ15字以内で埋めよ。

設問2 

IP over ATM方式とLANエミュレーション方式を比較した次の表中の空欄e〜hに、
適切な言葉をそれぞれ20字以内で埋めよ。

  IPoverATM方式 LANエミュレーション方式
ATM上を伝送する
データ形式
【 e 】 CSMA/CD方式のフレーム
アドレス解決 IPアドレスからATMアドレス 【 f 】
アドレス解決の手順 ATM-ARPの1段階 【 g 】とLANエミュレーション
ARPの2段階 
アドレスの対応関係 IPアドレスとATMアドレスの対応
関係は、1対1
MACアドレスとATMアドレスの対応
関係は、【 h 】

設問3 

ATMSを用いたアドレス解決では、端末やネットワーク機器に正しくルーティング
できるようにATMSのアドレステーブルを正確に維持する必要がある。次の(1)、(2)の
状態のとき、このアドレス解決方式を実現するには、端末又はATMSにどのような機
能が必要となるのか。それぞれ35字以内で述べよ。

(1)端末の電源オンや初期化時

(2)ATMSの通常の運用時

設問4 

図3において、二つのシステムを統合するには、LANエミュレーション方式が適し
ている。その理由を20字以内で述べよ。また、この方式で接続するために、端末A、B
とサーバEに必要となる機能について、それぞれ20字以内で述べよ。

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