テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題
 平成7年 午後1 問3

最終更新日 2004/01/31
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成7年 午後1 問3

問3

ネットワークシステムの二重化に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
X社では全社オンラインシステムを検討中である。このシステムでは一つのデータベース
サーバ(以下、サーバという)を全国4拠点に配置された数十台のパーソナルコンピュータ
(以下、クライアントという)から利用する。ネットワークは新規に構築し、TCP/IPを通
信プロトコルとして用い、各拠点に設置するLANをWANで接続することが決まっている。
図1はそのシステム概念図で、Cn(nは拠点を表す数字)はクライアント、Rnはルータ、S1
はサーバである。



図1 システム概念図

図1のネットワーク構成を具体的に検討するに当たって、信頼性確保の観点から次の要件
が提示されている。

(1)サーバ側ルータの二重化
拠点1のルータは2台とする。1台のルータに障害が発生した場合には、もう1台のルー
タを経由して、他の拠点との通信が可能なようにする。
(2)サーバの二重化
サーバを二重化する。全社オンラインシステムのサーバとして稼働している(本番系)サ
ーバに障害が発生したときには、もう1台の(待機系)サーバがサーバ機能を引き継ぐよう
にする。
(3)回線の冗長構成
ルータ間を結ぶWANは、バックアップ回線又はう回ルートをとれる構成にする。これに
よって、回線に障害が発生したときにも別経路で任意の拠点間の通信が可能なようにする。
(4)利用者への配慮
(1)、(2)、(3)の切替えはすべて自動化する。また、切替えが行われた後も、利用者は通常
(切替え前)と同じ操作で、サーバへの接続が可能なようにする。
図2は、これらの要件を反映したネットワーク構成案で、その概要は次のとおりである。



図2 ネットワーク構成案(1)

(a)拠ルータルータR1a、R1bと2通りの経路で接続が可能なようにする。これらのルータは定期的に
ルーティング情報を交換しており、一方の経路に障害があった場合には、他方の経路を
自動的に選択する。拠点1、2間の通信を例にとると、平常時の通信はR2、R1aを経由
するが、R1aが障害の場合にはR2、R3、R1bを経由する。
(b)データベースは冗長性をもった磁気ディスク装置上に構成し、その装置を2台のサ
ーバで共有する。本番系サーバS1aに障害が発生すると、待機系サーバS1bはそれを検知
し、本番系サーバとして自動的に立ち上がる。立ち上がったS1bはS1aとは異なる物理ア
ドレス(MACアドレス)をもつが、論理アドレス(IPアドレス)は同じものを使用す
る。立ち上がり直後、S1bは同一LAN上の機器に対して、"PING"(ICMPエコー要求の
パケット)を送信する。
(c)R3とR4は専用線で接続するが、ISDN回線交換網をバックアップ回線として利用する。
このバックアップ回線は"専用線あふれ対策"にも用いる。すなわち、ルータ間の通信
量が専用線の回線容量の80%を超えると、ルータは自動的にBチヤネル1回線を接続し、
ルータ間の回線容量を大きくする。その通信量が60%以下になると、ルータは自動的に
バックアップ回線を切断する。 、
(d)WANの構成に関しては、図3のような案も考えられる。図2と図3のいずれを採用
するかについては、各々の回線利用料金を比較し決定することにする。表は関連する拠
点間の料金計算上の距離を示している。



図3 ネットワーク構成案(2)

表 拠点間の距離(抜粋)

  拠点1 拠点4 拠点3
拠点1 - 150km 269km
拠点4 - - 138km
拠点3 - - -

設問1

(a)で述べられている内容に関して、次の各問いに答えよ。

(1)ここで述べられているルーティングの方法を一般に何と呼ぶか、15字以内で述ベ
よ。

(2)"経路の切替えが行われたとき、S1aとC2の通信は可能だが、C1のルーティング機
 能からみて、C1とC2の通信が不可能となる"という指摘があった。 この原因を推定
 し、C1とC2の通信が不可能となる理由を30字以内で述べよ。

(3)図2で示されている拠点1のLAN構成を変更することで、(2)の不具合を回避した。
 その変更点とは何か。図2との違いを30字以内で述べよ。

設問2

(b)で述べられている内容に関して、次の各問いに答えよ。

(1)"PING"の発信は、サーバの切替え上重要な意味をもつ。"PING"の発信をC1に
 対して省略したところ、C1からS1bへの接続が一定時間できなくなった。その理由を
 30字以内で述べよ。

(2)別のLAN上の機器(例えばC2)に対しても"PING" を発信する必要があるかどう
 かを判断し、その要否を理由とともに40字以内で述べよ。

設問3

 (c)、(d)で述べられている内容に関して、次の各問いに答えよ。

(1)図2のR1bとR3間、R3とR4間の専用線について、月額使用料の合計値を求めよ。

(2)図3のR1bとR4間、R3とR4間の専用線について、月額使用料の合計値を求めよ。

(3)図2においてR3とR4間の"専用線のあふれ"が平日(月20日とする)の17:00か
 ら17:30に限り常に発生すると仮定する。図2のISDNサービスの月額料金(月額使
 用料+通信料金)を求めよ。また、図2と図3のどちらの案が回線利用料金上有利か
 を、10字以内で述べよ。

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