テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成7年 午後1 問1

最終更新日 2004/01/24
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成7年 午後1 問1

問1

TCP/IPを利用したコンピュータネットワーク上に構築された分散型電子メールシステ
ムに関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。

T社は、全国に工場と支店をもつ製造業の会社であり、TCP/IPを利用した全社ネットワ
ークを用いて各種の業務処理を行っている。全社電子メールシステムもこのネットワーク上
で構築・運用している。電子メールシステムは、図1に示すような分散構成である。つまり、
全社を各部署に対応した"ドメイン"と呼ばれる領域に分割する。各ドメインごとに一つの
メールサーバを設置する。メールサーバは、TCP/IPの標準的な電子メール転送プロトコ
ルを使って送受信を行う。



図1 電子メールシステムの構成(概要)

各メールサーバは、電子メール用のパッケージソフトウェアを利用し、部署の状況に応じ
た各種設定を施して、運用される。
この電子メールシステムにおける、送信者や受信者のアドレス表記は、その者の所属する
ドメインの名称を使用して、"ドメイン内ユーザ名@ドメイン名" とし、全社で一意に識別
される。
各ドメインのメールサーバは、次に示す2種類の関連するコンピュータと通信しながら動
作する。

【一般のコンピュータ】
ユーザが日常業務を行うコンピュータである。ユーザは、このコンピュータを使って
電子メールを作成したり、メールサーバ内のメールボックスにある自分あての電子メー
ルを取り出したりする。
作成された電子メールは、自ドメインのメールサーバに電子メール転送プロトコルに
従って送られ、電子メール転送プロセスで処理される。
ファイル転送、リモートログインなどにも利用されている。

【ネームサーバ】
各種名前情報を管理するコンピュータであり、名前情報はドメイン単位で管理される。
ネームサーバは、他からの各種問合せに応じて回答する。例として、メールサーバの電
子メール転送プロセスからは,受信者アドレス中のドメイン名に対応する転送先のメー
ルサーバ名の問合せを受け付け、回答する。
  各ドメインのメールサーバは、次の2種類のプロセスから構成される(図2)。



図2 メールサーバのプロセス構成

電子メール転送プロセス】
基本動作を図3に示す。送られてきた電子メールの受信者アドレス中のドメイン名を
検索キーとしてネームサーバに問い合わせ、転送先のメールサーバを決定する。次に、
その転送先のメールサーバへの電子メールの転送を開始する。再実行期限(通常時2時
間)以内に転送を開始できなかった場合は、送信者へ電子メールを返送する。
転送先のメールサーバでも電子メール転送プロセスが同様の処理を繰り返し、最終的
に受信者の所属するドメインのローカル処理用電子メールプロセスに引き縦ぐ。複数の
メールサーバを経由した履歴は、電子メールのヘッダ部に記録される。

【ローカル処理用電子メールプロセス】
電子メール転送プロセスから処理を引き継ぐ。電子メールをその受信者アドレス中の
ユーザ名で示されるユーザに対応するメールボックスに格納する。



図3 電子メール転送プロセスの基本動作


設問1

TCP/IPを利用するネットワークシステムに関して述べた次の文章中の空欄を、そ
れぞれ12字以内の語句又は数値で埋めよ。

UNIXのコマンドプログラムやアプリケーションプログラムから、TCP/IPで接続さ
れたコンピュータを指定するには、大きく二つの方法がある。一つは、各コンピュータ
ごとに割り当てられているIPアドレスを直接指定するものである。この際の記法として、
32ビット長のIPアドレスを【 ア 】ピットごとに小数点で区切り、それぞれを【 イ 】
進数で表記する方法がよく用いられる。この記法を用いた例として、16進記法で
"12345678"と表されるIPアドレスは、【 ウ 】と表記される。
他方は、ドメイン名を用いて指定する方法である。この方法で指定されると、
TCP/IPにおける【 エ 】と呼ばれるネームサーバが呼び出され、ドメイン名をキーと
してIPアドレスが検索される。このIPアドレスでコンピュータを指定するものである。
電子メール転送プロセスでは、後者の方法を利用して転送先コンピュータを決定する。
次に、TCP/IPの標準的な電子メール転送プロトコルである【 オ 】に従って、電子メ
ールの転送を行う。

設問2

 この電子メールシステムの運用において、電子メールが途中で転送不能となる場合が
ある。エラーの原因を分類した次の問いに答えよ。

(1)図3において、ある転送先のメールサーバに対して、ネットワーク層間の接続の確
    立に失敗することがある。その原因を二つ挙げ、それぞれ15字以内で述べよ。

(2)ローカル処理用電子メールプロセスでは、受信者不明などの理由によって、電子メ
    ール転送不能として送信者へ返送する処理が必要となる。図3に示した各処理内容以
    外にも、電子メール転送プロセスが転送不能と判断し、送信者へ電子メールを返送す
    る処理を追加しなければならない。その判断理由を20字以内で述べよ。

設問3

 この電子メールシステムの構成のように、ネームサーバの機能が独立しているのは、
幾つかの利点があるからである。ネットワークアプリケーションプログラムを開発する
立場からの利点と、ネットワークを管理する立場からの利点を、それぞれ25字以内で述
べよ。

設問4

 図1に示す部署Aのメールサーバは、管理の都合によって夜間は停止させている。そ
の間は別の部署Bのメールサーバで自動的に代理受信させる設定にしたい。そのために
は、部著Aに関するネームサーバヘの登録内容の変更と部署Bのメールサーバの電子メ
ール転送プロセスの設定の変更が必要になる。問題文中で述べた内容から、ネームサー
バ、電子メール転送プロセスのそれぞれについて変更が必要となる項目を一つずつ挙げ、
それぞれ10字以内で述べよ。また、その変更内容をそれぞれ20字以内で述べよ。なお、
すべてのネームサーバは夜間も正常に機能しているものとする。

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