テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成11年 午後1 問4

最終更新日 2006/02/26
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成11年 午後1 問4

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ネットワークシステムの運用に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。

R社では社内ネットワークを構築し、業務系と情報系の2システムで利用している。東京
の本社ビルにコンピュータセンタ(以下、センタという)を置き、センタと全国に敷か所あ
る支店間を64kビット/秒の高速ディジタル回線でスター状に接続している。最近、その回
線容量が不足気味になってきた。
このネットワークのプロトコルはTCP/IPで統一され、センタと支店間はルータ経由で接
続されている。センタと各支店の接続構成はほぼ同じであり、例として大阪支店との接続構
成を図1に示す。主な機器のIPアドレスとMACアドレスを併せて図1に示す。
センタには、業務系ホスト(ホスト)と情報系サーバ、ネットワーク管理システム用のサ
ーバ(以下、管理サーバという)を設置している。情報系サーバは、イントラネットにおけ
るWWW及び電子メールのサーバである。
支店には支店サーバを設置し、社員は各員に割り当てられたクライアントで支店サーバ、
センタにある情報系サーバとホストにアクセスする。省電力化のため、使用していないクラ
イアントの電源は切っている。支店サーバとクライアント、ルータの接続には、10BASE-
TのLANを利用し、16ポートのハブをカスケード接続している。大阪支店のクライアント数
は、約50台である。


図1 R社のネットワーク構成(センタと大阪支店間)

このネットワークの管理はシステム部が行っており、ネットワークの構成変更やクライア
ントの増設に伴う通信機器やケーブルの手配も行う。ただし、ネットワークの構成変更を伴
わないクライアントの増設だけは、各部門で独自に行っても構わないことになっている。
管理サーバで稼働させているネットワーク管理システムでは、構成管理、障害管理のほか、
性能管理を行う。

構成管理機能は、ネットワークの論理的構成及び物理的構成を把握するために利用するも
のである。R社では、【 a 】機能を使用していないので、ネットワークに機器の追加や撤
去、移設が生じる場合には、ネットワーク構成情報の変更を明示的に行っている。しかし、
クライアントはこの対象外である。
障害管理機能は、ネットワークの機器障害の検知を行ったり、機器からの障害情報を受け
たりすることで、障害切分けに利用するものである。機器又は経路の障害調査に用いるping
コマンドには【 b 】というプロトコルが使用される。R社では、障害検知の対象機器につ
いては、SNMPに対応するものを導入している。さらに、遠隔地にある機器の稼働状況を把
握するため、支店ごとに【 c 】エージェントを置くことによって、センタ側で支店LANの
パケットを収集することが可能である。
性能管理機能は、ネットワークを良好な状態で利用するために、トラフイック量や応答時
間などを把握し、評価・分析に利用するものである。性能管理の一つとして、利用率やトラ
フイック量などが【 d 】を超えると、【 c 】からマネージャにTrapメッセージを送ると
いう方法がある。

ある日、大阪支店のS氏からシステム部に連絡が入った。クライアントを増設するため、
LANにハブを追加したが、うまくいかないとのことだった。
本来、システム部に無断で行った構成変更には対応しないことにしている。しかし今回は、
教育の一環として新人のT君に対応させることにした。次はT君とS氏のやり取りである。

T君:    クライアントが使用できないということですが、どういった状況なのでしょうか。も
          う少し詳しく説明していただけますか。
S氏:    今回3台のクライアントを増設したかったのだが、ハブのポートがすべて使用されて
          いたので、ハブを追加してクライアントに接続することにしたんだ。ところが、新し
          いハブに接続したクライアントからは、どのサーバも利用できない。
T君:    クライアントの設定は正しいのでしょうか。
S氏:    今まで使っていたクライアントを新しいハブに接続しても同じ結果になる。だから、
          クライアントの設定の問題ではないと思うのだが。
T君:    そうですね。その新しいハブはどうしたのですか。
S氏:    勝手に使って申し訳ないのだが、故障時の予備を使わせてもらったよ。
T君:    困りますね。でも、今は問題を先に解決しましょう。そのハブをどこに接続されたの
         でしょうか。それから、接続に使用したケーブルをどこから入手したか教えてくださ
          い。
S氏:    HUB110に接続していたクライアントを1台外して、そこに新しいハブを接続した。
          新しいハブの接続には、クライアント用に用意してあった1メートルのケーブルを使
          ったよ。何が悪かったのかな。
T君:    そうですか。問題となる点が二つありますね。一つは、構成上の問題です。正しい接
          続構成図を送りますので、このとおりにしてください。もう一つは、ケーブルの問題
          です。クライアント接続用のケーブルと見た目が同じなので間違いやすいのですが、
          ハブ同士を接続するケーブルは別のものです。正しい接続構成にすると長さも足りま
          せんので、こちらでケーブルを手配します。

T君の対応で、クライアントは使用できるようになった。しかし、新設した中の1台だけ
がまだ少しおかしいという。その1台は、支店サーバへのアクセスはできるが、ホストと情
報系サーバへのアクセスができないとのことであった。

T君は、管理サーバでデータを収集し、パケットの分析を行うことにした。そこで、正常
に使用できるクライアント1と使用できないクライアント2で、情報系サーバ、支店サーバ
をあて先としたpingコマンドを投入するようS氏に依頼し、その時のパケットを収集した。
分析の結果、クライアント1でpingコマンドを投入した場合には、どちらのサーバあてに
も正常にARPパケットが出ていた。一方、クライアント2では情報系サーバをあて先とし
たpingコマンドを投入しても、ARPパケットを捕捉することができなかった。クライアン
ト1が送受信したパケットの内容を表に示す。

結局、クライアント2の設定でデフォルトゲートウェイが漏れていることが原因と判明し、
設定変更を行い、正常に通信ができるようになって、問題は解決した。

表 クライアント1で送受信したARPパケット

  情報系サーバヘのping投入時 支店サーバヘのping投入時
ARP要求 ARP応答 ARP要求  ARP応答
MAC
ヘッダ
あて先アドレス       40-00-00-99-99-99
送信元アドレス       40-00-00-22-22-22
ARP
メッセージ
目標IPアドレス       172.17.0.101
 送信元IPアドレス        172.17.0.1

設問1

ネットワーク管理システムに関する次の問いに答えよ。

(1)本文中の【 a 】〜【 c 】に入れる適切な字句を答えよ。

(2)R社ではクライアントを障害検知の対象にしていない。その理由を二つ挙げ、それ
ぞれ30字以内で述べよ。

設問2 

T君の対応に関する次の問いに答えよ。

(1)どのような接続構成が問題であったのか。問題点を25字以内で述べよ。

(2)クライアントをハブに接続するケーブルの結線は図2のようになっている。ハブ同
士を接続する場合の結線を解答欄に図示せよ。


図2 ケーブルの結線状況

設問3 

パケット分析に関する次の問いに答えよ。

(1)収集したパケットから、クライアント1が送受信したものを抽出するには、どのよ
うにすべきかを、30字以内で述べよ。

(2)情報系サーバ、支店サーバのアドレス解決を目的としたARPパケットについて、
記入済の表記に従って表の空欄を埋めよ。

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