テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題平成11年 午後1 問2最終更新日 2004/01/24
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Tomのネットワーク勉強ノート |
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問2
モパイルアクセス環境の導入検討に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。
J社は、中堅の飲料製造販売会社で、東京の本店のほかに、横浜や千葉など関東地方に五
つの支店と一つの工場をもっている。社員は200人で、管理部門(総務部、経理部など)30
人、営業部門50人、製造物流部門120人から構成される。
2年前、社長の発案で、社内事務の効率向上と業務改革に向けて社内情報システムの構築
を開始した。開発に当たっては、社内情報システムを全社員が短期間に使いこなせるように
なることが大切であり、そのため抵抗なく利用できるようにすることを目標に、次の設計方
針を定めた。
(1)社員が毎朝クライアントソフトを起動してサーバとの通信を開始すると、サーバから会
社名のロゴが入ったカラー画像の開始画面をまず送信する。また、これ以降も画像を活用
することによって、社員に親しみを感じさせ、取り付きやすくする。
(2)行いたいことを開始画面から選択し、次の画面で更に詳細な作業項目を選択して、必要
な項目を順次入力していく方式(対話型)にする。
(3)画面に現れる指示に従って、マウスなどのポインティングデバイスで必要項目を選択で
きるようにする。日付や検索キーなどをメニュー化し、キー入力をできるだけ避ける。
この設計方針のもと、出退勤管理や交通費精算、通知・通達、電子掲示板、商品情報検索、
在庫情報検索、日報・週報・月報などのサブシステムを開発した。併せて、一人1台のPC
を配備し、文書共有サーバ、WWWサーバ、データベースサーバに本店のLAN(以下、本
店LANという)を介して接続した。これらのサーバは本店に設置し、支店と工場からは専
用線とルータを介して接続する。このようにして開発が完了した社内情報システムは、業務
改革への第一歩として社長の評価も得て運用を開始した。
[モパイルアクセス環境導入の経緯]
最近、営業部員から、“外回り(顧客訪問)の後、特に遠くまで行ったときなどは、帰
社が遅くなるので日報を入力するのは面倒である"、また“小売店との商談中も商品情報
を迅速に確認し的確に対応したい"、などの問題や要望が寄せられた。そこで、携帯可能
な小型PC(以下、モパイルPCという)を営業部員に貸与し、社外から社内情報システ
ムをアクセスできる環境の構築を検討することになった。
[モパイルアクセス環境の検討]
営業部門から要望を聞いたシステム部のK課長は、部下のL君にモパイルアクセス環境
の検討を命じた。L君は営業部員にヒアリングし、報告書(表1及び図)をまとめた。
表1 モパイルアクセス環境の検討報告
検討項目 | 検討内容 |
社外からアクセスし たいサブシステム |
(1)日報、(2)商品情報検索、(3)在庫情報検索、(4)電子掲示板、 (5)通知・通達 |
モパイルアクセス 環境の構成 |
(1)モパイルPCに、利用する通信サービスに適した通信カードを装着する。 (2)モパイルPCはアクセスサーバを介して本店LANに接続する(図)。 (3)アクセスサーバはターミナルアダプタを用いてISDNと接続する。 (4)アクセスサーバは本店に設置する。 |
セキュリティ対策 | 登録された社員からのアクセスであることを認証する仕組みを構築し、不正アク セスを防止する。 |
図 モバイルアクセス環境の構成
モパイルアクセス環境で使用でき、かつ利用実績のある代表的な二つの移動体通信サ
ービスについて調査した。【 a 】は通話エリアが広く高速移動中でも通信が可能であ
るが、一般的に使われているサービスでは通信速度が9.6〜14.4kビット/秒程度になる。
【 b 】はISDNを基幹網とし、32又は64kビット/秒の高速通信が可能で、発呼して
から通信可能になるまでの時間が比較的短くて済む。
[モパイルアクセス環境の実証テスト]
報告を受けたK課長は、引き続き、実際の応答性能や通信経費を確認するためのテス
ト環境を検討するようL君に指示した。L君は移動体通信サービスとして【 b 】を使っ
たテスト計画案をまとめた(表2)。本店側に設置する機器は数種の製品を検討し、表3
の機器をベンダから借りてテストすることにした。
表2 テスト計画案
テストに必要な機器 と回線 |
モパイルPC、通信カード、【 b 】、ISDN基本インタフェー ス同線、アクセスサーバ、ターミナルアダプタ |
評価項目 | 接続時間、応答時間、通信料金 |
表3 本店側テスト樵器の仕様及び価格
機器名 | 仕様 | 価格 |
アクセスサーバ | データポート数 :12 LANインターフェース数 :1 |
1,000,000円/台 |
ターミナルアダプタ | ISDN基本インターフェース数 :1 データポート数 :2 |
50,000円/台 |
テストの結果、本店内での利用に比べ応答が遅く、接続時間が長くなり通信料金がか
さむことが分かった。しかし、それは社内情報システムの当初の設計方針(1)〜(3)を変更
し、接続時間短縮のための工夫をすることによって解決できるとL君は考えた。K課長は
L君の言う改善策を検討し、システム部で一部のサブシステムをテスト的に手直しした。
その結果、接続時間の短縮が確認されたので、その前提で経費を見積もるようL君に指
示した。
[モパイルアクセス環境の経費の見積り]
L君は次のように想定した。営業部員50人が利用し、1回の利用における接続時間は
6分で、接続の最繁時集中率は0.2、最繁時間帯は午後5時から6時とする。一人当たり
1日5回の接続を見込み、合計1日30分、1か月に10時間接続する。この前提で計算し、
将来の接続時間の伸びも考慮してISDN基本インタフェース回線数は6回線とした。本店
側からの発信はないものとしてISDN基本インタフェース回線の月額費用は3万円余りに
なる。
アクセスサーバとターミナルアダプタはテストに使用した機器を継続使用することに
した。モパイルPCと通信カードは市場の製品と価格を調査し、それぞれ30万円と2万円
のものを選定した。これらの機器はリースにした。見積時点での月額リース料率は2.3%
であった。営業部員50人に貸与するモパイルPCと通信カードの年間リース費は441万円
余りになった。アクセスサーバとターミナルアダプタについては保守契約を行うことに
した。年間保守費は機器価格の10%であった。こうして、モパイルアクセス環境には年
間経費1千万円余りが必要になることが分かった。
設問1
本文中の【 a 】、【 b 】に入れる適切な字句を答えよ。
設問2
モパイルアクセス環境に必要なISDN基本インタフェース回線数に関する次の問いに
答えよ。
(1)本文中の記述に従って、最繁時呼量を求めよ。
(2)呼損率を0.1とし、巻末付表を用いて必要な最少Bチヤネル数を求めよ。
設問3
モパイルアクセス環境の経費に関する次の問いに答えよ。移動体通信サービスの通信
経費は、基本料金(月額)と接続時間に応じた通話料金とからなる。基本料金は1加入
当たり月額1,000円とする。通話料金は、距離によって異なるが、ここでは計算を簡便
にするため、常に接続時間45秒ごとに10円とする。本店側にかかる通信経費は含めない。
(1)営業部員一人の1日当たりの通話料金を求めよ。
(2)営業部員全員の月額通信経費(基本料金と通話料金の合計)を求めよ。
(3)アクセスサーバとターミナルアダプタの年間リース費及び年間保守費の合計を求め
よ。ターミナルアダプタはISDN基本インターフェース回線の数だけ用意する。
設問4
L君の考えた接続時間短縮策とは何かを、15字以内で述べよ。
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