テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成9年 午後1 問5

最終更新日 2006/02/26
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成9年 午後1 問5

問5

ネットワークシステムの再構築に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。

E社は東京に本社があり、横浜と大阪に支店がある電器製品の販売会社である。本社には
50名、各支店にはそれぞれ10名の営業担当者がいる。
本社及び横浜、大阪の各支店には、TCP/IPを利用したLANが導入されているが、各LAN
は相互に接続されていない。各支店LANに接続されたOAサーバはファイル共有などで利用
されている。また、本社LANには、販売管理システムが構築されている。客先で販売管理
システム上にある最新の営業情報が必要となった場合、本社又は支店の営業担当者は、電話
又はファックスで本社又は支店に問い合わせるか、自席に戻り、LANに接続されたパソコ
ンから営業情報を検索している。しかし、支店では必ずしも最新の営業情報を得ることがで
きない。
現在、本社と支店間の営業情報の受渡しは、公衆電話綱で接続された専用パソコン(以下、
専用PCという)をLANとは別に設置して行われている。それぞれの支店ではこの専用PCを
使用して、受注データの1日分をまとめて毎日18時に支店から本社ヘアッブロードする。更
に、本社の専用PCに準備された支店への営業情報を、翌朝9時に各支店から接続してダウ
ンロードする。しかし、本社の専用PCと販売管理システムとはフロッピーディスクによる
データ受渡しが前提であるので、現在の運用負担は大きい。図1にE社の現状のネットワー
クを示す。



図1 E社の現状ネットワーク

E社では、本社に構築された販売管理システムを支店を含めた全社で共有するとともに、
本社での営業情報の一元管理を徹底し、営業支操をより円滑に推進する計画である。第1段
階として、客先へ商談に出かけることの多い本社営業担当者に対する営業支援のため、携帯
型パソコンを持たせ自宅や客先などの社外から、公衆電話網又はISDNを利用して、本社に
ある販売管理システムとの情報の受渡しができる環境を構築する。また、各支店の営業担当
者に関しては、支店内LANに接続された自分のパソコンから必要な時に本社の最新の営業
情報を入手でき、更に受注データを本社に送れる手段を提供する計画である。この場合、本
社及び各支店の営業担当者のパソコン利用において、いずれも社外接続に関するセキュリテ
ィヘの考慮が必要であり、外部からの不正なアクセスを防止するための対応策が重要な課題
である。

[新ネットワーク構築の予備調査結果]
E社の構築要件を満たすネットワークの実現形態には、"LAN間接続" と“リモートア
クセス”が考えられる。一般的なLAN間接続のための機器としては[ a ]ルータ
使用される。[ a ]はデータリンク層以下での接続であり、ルータに比べて、伝送処
理負荷が軽減される。しかし、回線側にそのまま流れ出るデータフレームが増え、伝送
効率の悪化による通信コスト増加の問題が発生する可能性がある。
ルータはルーティング情報に基づきデータ転送先を決定する。この場合、回線をいか
に効率よく使用するかが課題となる。このため、TCP/IP対応のルータには、通常のデ
ータフレーム以外の[ b ]を、不必要に回線上に流出させないための機能が備えられ
ている。
一方、E社のリモートアクセスの実現策は、”アクセスサーバ"の設置が効果的である。
外部からの不正アクセス防止への一般的な対応策は、アクセスサーバによるコールバッ
ク機能や、ユーザ認証機能をもつ通信プロトコルである[ c ]を利用する方法がある。
[ c ]は不特定多数の相手との通信に適しており、マルチプロトコルにも対応できる
[ d ]層の代表的なプロトコルである。

[新ネットワーク案]
上記の予備調査結果をもとに、E社では新ネットワーク案を検討した。
ネットワーク再構築に当たっては、営業担当者の利用状況の予想から、本社と支店の
それぞれに配置したLAN間接続機器によってISDNサービス(基本インタフエースのデ
ィジタル通信モード)を利用したLAN間接続とする。同時に、使用していた専用PCと、
本社と支店間の公衆電話網の利用を中止する。また、プロトコルは、本社と各支店で既
に利用しているTCP/IPを前提とする。
新ネットワークでは、各支店と本社との間で営業情報や受注データの受渡しを直接行
うために、Bチャネル1本を使用して本社販売管理システムにアクセスするルートを設
定する。また、本社営業担当者が客先や自宅などの社外から、本社に設置したアクセス
サーバを介して、販売管理システムに接続できるようにする。図2にE社の新ネットワ
ークを示す。



図2 E社の新ネットワーク

新ネットワークにおける、各支社から本社への接続要求は、2〜5分に1回程度で、
本社の販売管理システムの検索サービスは平日の8〜18時の営業時間帯に限られている。
検常時の呼設定時間は1秒以内と見込んでいる。また、接続の操作は、必ず支店側から
本社に対して行う。それぞれの支店と本社との月間通信量は、表のように想定している。

表 支店別の本社との月間通信量

支店 1接続当たりの
通信時間(秒)
1日当たりの
接続回数(回)
1ヶ月当たりの
運用日数(日)
大阪 40 200 20
横浜 20 250 20

注:通信時間とは、呼が設定されてからデータ伝送が終了するまでの時間である。


設問1

本文中の[ a] 〜[ d ]を、それぞれ15字以内の適切な字句で埋めよ。

設問2

本社と支店間のISDNサービスの“通信料金削減”のために、LAN間接続機器がもつ
べき機能を二つ挙げ、それぞれ20字以内で述べよ(ただし、”回線自動切断機能”は除
くものとする。

設問3

図2に示すE社の新ネットワークに関する、次の小問に答えよ。

(1)データ伝送の終了時点から回線切断までの無通信時間の監視タイマ値として、30秒
と5秒の2案を検討する。設定値が30秒(案1)と5秒(案2)の両案の月額通信料
金を、大阪及び横浜のそれぞれの支店ごとに計算せよ。
ただし、通信料金の算出には、付表5の各種使用料は含めないものとする。

(2)(1)の計算結果から、高速ディジタル回線を使用した方が経済的と考えられるのは、
どの支店のどちらの案か。また、その場合の回線速度は幾らか。ただし、通信料金の
算出には巻末付表10の月額使用料のうちの、回線距離の項以外は考慮しないものとす
る。

設問4

本社と支店間の通信量と通信頻度の増加に対応するために、ISDNサービスの特徴と
LAN間接続機器のもつ機能を生かして"通信の高速化"を実現したい。この実現策に
関する、次の小問に答えよ。

(1)LAN間接続機器にもたせるべき機能を15字以内で述べよ。また、その概要を30字
以内で述べよ。
(2)データ伝送の終了時点から回線切断までの無通信時間を5秒に設定して、この機能
を利用した場合の大阪支店の月額通信料金を計算せよ。ここで、通信料金の算出に当
たっての前提は、設問3(1)と同じとする。

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