テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成8年 午後1 問4

最終更新日 2004/01/24
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成8年 午後1 問4

問4

ネットワークの障害対策に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。

S社は情報処理サービス業を営む会社であり、K社の業務オンラインシステム(以下、シ
ステムという)の運用を受託している。K社は東京に本社があり、東京から21km離れたS社
コンピュータセンタ(以下、S社センタという)とK社本社とをアナログ専用線(以下、専
用線という)で接続している(図1)。ホストコンピュータ(以下、ホストという)及び通
信制御装置(以下、CCPという、)はK社以外の業務にも使われている。


図1 K社システムのネットワーク構成

業務拡大に伴い徐々に端末が増えたため、現在、12台の端末制御装置(以下、TCEとい
う)が業務別にK社本社ビル(地上6階、地下1階)の地上各階のEPS(電気・電話・LAN
用のタクトスペース)内に2台ずつ分散して設置されている。各TCEは専用線を介して、S
社センタのCCPに、HDLC手順(NRM)で接続されている。業務用途によって端末種別及
び端末台数に違いがあるので、TCEとCCPアドレスとの接続は固定されている。
システムのオンライン処理時間帯は、平日(月〜金曜日)の8〜18時であるが、業務処理
の多い日は時間を延長する。そのためTCEは、それに接続されている端末が動作できるよ
う、電源を常時入れてある。休日(土曜日・日曜日・祝日)にはオンライン処理はない。S
社センタでは監視要員が定期的に、ホストとCCPの稼働状況のチェックやセンタ側モデムの
電源と表示ランプの点検を行っている。
S社は、K社本社との専用線が増えたために通信経費が大きくなってきたこと、及び最近
の大規模震災の報道によって回線障害対策の重要性を認識したことから、ネットワークの見
直しをK社に提案することにした。上司から見直しの指示を受けたS社システム担当のT君
は、次の二つの方式案を考えた。第一案は通信経費増への対策、第二案は回線障害への対策
となるものである。
第一案 S社センタとK社本社との間の専用線12回線を高速ディジタル回線1回線に置き換
える。高速ディジタル回線との接続には、時分割多重化装置(以下、TDMという)
を使用する(図2)。

図2 第一案 TDMの導入構成

第二案 各専用線をISDNでバックアップし、専用線障害に備える(図3)。



図3 第二案 回線切替え装置の導入構成

第二案では、回線切替え装置を導入する。これは専用線1回線につきISDN基本インタフ
ェースBチャネル1本を用いて、専用線断又はモデム障害時に自動あるいは手動で切り替え
る装置である。ISDN基本インタフェース1契約回線(Bチャネル2本)で専用線2本をバ
ックアップできる。回線切替え装置にはモデルA(以下、LS-Aという)とモデルB(以下、
LS-Bという)があり、それぞれの仕様と価格は表1に示すとおりである。回線切替え装置
の機能及び動作は、LS-A、LS-Bともに共通で、表2に示すとおりである。

表1 回線切替え装置の仕様と価格

項 目 モデルA(LS-A) モデルB(LS-B)
端末側インタフェース ITU-T勧告V.24  ITU-T勧告V.24
専用線側インタフェース  ITU-T勧告V.24 ITU-T勧告V.24
通信速度 2.4、4.8、9.6kビット/秒  2.4、4.8、9.6kビット/秒
収容回線数 2回線 6回線
バックアップ回線 ISDN基本インタフェース1契約回線 ISDN基本インタフェ-ス3契約回線
月額使用料 25,000円  60,000円

表2 回線切替え装置の機能及び動作

項 目  説 明
IDチェック機能  サブアドレスを用いた着信端末選択機能
手動切替え 装置前面パネル切替えキー押下による手動切替え
自動切替え モデム信号(CD、DR、CSなど)の監視とモデム信号断による自動切替え
・自動切替えの条件として設定可能な事項(オプション)
自動切替え 
(1)監視時間帯:監視開始及び終了時刻を00:00〜24:00の範囲で
一組設定
(2)ER監視:ER監視を指定すると、監視時間帯中でもERオフの
場合、自動切替えしない
専用線への手動復旧 装置前面パネル専用線キー押下及び対象の専用線ポート選択による手動復旧
専用線への自動復旧 監視時間帯を過ぎると、専用線に自動切替え

CD:データチャネル受信キャリア検出信号 ER:データ端末レディ信号 CS:送信可信号
DR:データセットレディ信号

T君は第一案と第二案を組み合わせた最終案を作成し上司に報告した。図4にその一部分
を示す。TCE1とTCE2、TCE3とTCE4はそれぞれ同一の階のEPS内に設置されている。こ
の最終案では、TDM端末側インタフェース1ポートにつきBチャネル1本をバックアップ
に用意し、回線切替え装置の運用手順は正視時間帯を8〜18時に設定して自動切替え(セン
タ側LSからの発呼)及び自動復旧することにした。


図4 K社システムの新ネットワーク構成案(部分)

上司は自動切替えにおける運用上の問題点を指摘し、IDチェック機能及びER監視を活用
するよう指示した。T君は上司の指示に従い、監視時間帯を延ばすなどの改良を加えた運用
手順を作成し、続いて、回線切替え装置テスト手順をまとめた。表3にその一部分を示す。

表3 回線切替え装置テスト手順(部分)

テスト項目 テスト作業
自動切替えができるか 【 a 】を抜く
【 b 】ができるか  監視時間帯終了まで待つ
手動復旧ができるか 【 a 】を差し込み専用線キーを押下する。
回線切替え装置電源断時でも専 
用線で通信できるか
回線切替え装置の電源を落とす

設問1

 T君の作成したTDM及び回線切替え装置の接続構成図を完成させよ。12台のTCEす
べてをバックアップするために最も月額経費が安くなる接続構成にし、その場合に選択
すべき回線切替え装置のモデル名(LS-A、LS-B)を明記すること。結果は図4の
TCE4台について記入すればよい。高速ディジタル回線、TDMは図4のとおりとし、
ISDN基本インタフェース回線、接続ケーブルは必要に応じて追加すること。K社本社
側のTDMは地下1階の主配線盤(MDF)設置スペース内に置くものとし、構内モデム
(月額使用料5,000円・□で表記)は必要に応じて使用すること。回線切替え装置は、K
社本社ではTCEと同様EPS内に設置する。S社センタでは、CCP、TDM及び回線切替
え装置は同じ階に設置し、V.24インタフェースケーブルで接続できるものとする。K社
本社では、階が異なる場合、V.24インタフェースケーブルだけでは階をまたがって配線
はできないものとする。DSUは記入不要である。接続ケーブルの費用は考えなくてよ
い。

設問2

上司の指摘する自動切替え時の問題点に関する、次の小問に答えよ。

(1)IDチェック機能を用いないと自動切替えにおいてどのような不都合な現象が発生
するか、30字以内で述べよ。

(2)ER監視を併用しないと休日に起こりうる問題点を40字以内で述べよ。また、その
対策としてS社センタ側で行うべき作業を40字以内で述べよ。

設問3

表3の【 a 】、【 b 】をそれぞれ20字以内の適切な字句で埋めよ。

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